★特製ポストカード付き特別鑑賞券 ¥1,400 発売中 ※10/7㊍までの販売
聴こえてくる—
静まらない心の震えが
心に失調をきたし、妻とふたりで故郷函館へ戻ってきた和雄。病院の精神科を訪れた彼は、医師に勧められるまま、治療のため街を走り始める。雨の日も、真夏の日も、ひたすら同じ道を走り、記録をつける。そのくりかえしのなかで、和雄の心はやがて平穏を見出していく。そんななか、彼は路上で出会った若者たちとふしぎな交流を持ち始めるが—。数々の映画賞を受賞し話題を呼んだ『きみの鳥はうたえる』(18)に続き、佐藤泰志の小説、五度目の映画化であり、シネマアイリス企画・プロデュース作品としてもこれが五作目となる。原作は、佐藤自身が自律神経失調症を患い、療法として始めたランニング経験をもとに書いた短編小説。1979年に発表された原作を現代に置き換え、光あふれる函館の風景のなかで映像化したのは、『空の瞳とカタツムリ』(18)『なにもこわいことはない』(13)の斎藤久志。どうしようもない孤独を抱えた人々の葛藤を静かな気迫で捉えた本作。何かを追い求めるように黙々と走り続ける男の姿を通して、死に引き寄せながらも懸命に生きようとする人間の生の輝きをまざまざと描きだす。
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