北欧の夏時間が、心の凪に優しく波を立てる。
スティーヴン・スピルバーグやマーティン・スコセッシなど、今日の巨匠と呼ばれる映画監督たちに、多大な影響を与えたイングマール・ベルイマン。彼の熱狂的な支持者である、『未来よ こんにちは』でベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いたミア・ハンセン=ラブ監督が、ベルイマンの原風景と言われるスウェーデンのフォーレ島を舞台に最新作を撮影。奇岩が屹立した神秘的な自然や郷愁を誘う風車、ベルイマンが公私共に時を過ごした家屋や縁の品々を、存分に映像に収めた作品を完成させた。実在した巨星ベルイマンの人生、実際に多くの映画ファンが訪れ聖地となったフォーレ島、その島で展開される監督カップルのフィクション、劇中劇として紡がれるストーリー、そこに落とされるミア・ハンセン=ラブ本人の影──現実と虚構が入り混じり、その境目が曖昧になっていく。「それこそが映画であり、人生なのでは?」と、観る者に深い味わいを投げかけ、北欧の離島でのときめきが蘇るような体験に連れ出してくれる、稀有なる映像体験。
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