愛が、たぎる。
愛の大渦に呑み込まれる、ダークファンタジー・ロック・オペラ!
唯一無二の監督カラックスのとてつもない傑作!
2021 年のカンヌ国際映画祭。コロナ禍で前年中止され 2 年ぶりの開催となったカンヌのオープニングを飾ったのがレ オス・カラックスの新作『アネット』だった。長編 6 作目にして初の英語映画、初のミュージカル。シニカルで悪夢的な おとぎ話、しかもタイトルロールを演じるのが人形という『アネット』は、カンヌ再開にふさわしいサプライズとなっ た。「傑作」という好評も相次ぎ、監督賞を受賞した。
レオス・カラックスは唯一無二の監督である。彼の映画は誰の作品にも似ていない。まるで流れに逆行するかのように 一作ごとに作風や文体を変えるので、自分自身の映画にすら似ていない。その物語はいつもどこか神話のようでもあり、 説明可能なことと不能なことが混ざり合い、謎に答えはない。そのときどきに作者が抱えていた思考や感覚が不思議な夢のような形で物語られるのだ。