≪あらすじ≫
ケネディ大統領の妻ジャクリーヌの叔母といとこであるビッグ&リトル・イディの親子は、ボロボロの屋敷で二人暮らし。ともにシンガーやモデルとしてショービジネスの世界を目指した過去をもつ二人は、喧嘩をしたり、ラジオから流れてくる曲に合わせて歌ったり、ベランダで日光浴をしたり、猫に餌をやったりして暮らしている。とくに娘のリトル・イディは、監督のメイズルス兄弟にダンスを披露したり、二人を誘惑してみたり、とにかく活発に話して動きまわる。そしてなによりも、頭にスカーフを巻いたりスカートを上下逆さまに着たりするなど、著名デザイナーなどにも影響を与えることになる奇抜で個性的なファッションが魅力的。本作では、母と娘の一筋縄ではいかない異様な関係が鮮烈に描き出されている。
≪製作・監督:メイズルス兄弟とは≫
アルバート・メイズルス(1926-2015)、デヴィッド・メイズルス(1931-1987)
アメリカ、ボストンに生まれたメイズルス兄弟は、1960年代に始まるドキュメンタリー映画の潮流“ダイレクト・シネマ”の代表的映画監督。兄アルバートは、ケネディとハンフリーの大統領予備選を追ったPrimaryにカメラマンとして参加などした後、弟デヴィッドと共同での映画制作を始める。二人の代表作には本作のほか、聖書のセールスマンを追ったSalesman、初訪米時のザ・ビートルズに密着した『ザ・ビートルズ ファーストU.S.ヴィジット』や、コンサート中に観客が刺殺される瞬間も捉えた『ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター』、美術家のクリスト&ジャン・クロードを追った『クリストのヴァレー・カーテン』などがある。デヴィッドの死去後も、アルバートは『アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー』などを発表している。また、アルバートは撮影監督としてオムニバス映画『パリところどころ』のゴダール篇にも参加。ゴダールは彼のことを「アメリカ最高のカメラマン」と評している。