果たして、是か、非か
75歳以上が自らの生死を選択できる<プラン75>。
この架空の制度を媒介に、「生きる」という究極のテーマを
全世代に問いかける衝撃作が誕生した。
当事者である高齢者はこの制度をどう受けとめるのか?若い世代は?<プラン75>という架空の制度を媒介に、人は何を選択し、どう生きていくのかを問いかける作品が誕生した。早川監督は、「2000年代半ば以降、日本では自己責任という言葉が幅をきかせるようになり、社会的に弱い立場の人を叩く社会の空気が徐々に広がっていったように思います。そして2016年、障害者施設殺傷事件が起こりました。人の命を生産性で語り、社会の役に立たない人間は生きている価値がないとする考え方は、すでに社会に蔓延しており、この事件の犯人特有のものではないと感じました。政治家や著名人による差別的な発言も相次いで問題になっていましたし、人々の不寛容がこのまま加速していけば、<プラン75>のような制度は生まれ得るのではないかという危機感がありました」と振り返り、「そんな未来は迎えたくないという想いが、この映画を作る原動力となりました」と制作意図を明かす。年齢による命の線引きというセンセーショナルなモチーフを打ち出しつつ、細やかな演出で、この世界を懸命に生きる人々を丁寧に描いた。2025年には国民の5人に1人が75歳以上になると言われる日本で、ここに映し出される状況は絵空事と言い切れない。他者への不寛容さや痛みに対する想像力を欠いた世の中への危機感とともに、命の尊さを静かに、そして強く訴える。
果たして、<プラン75>に翻弄される人々が最後に見出した答えとは―――。
