「ブロークバック・マウンテン」と「ショートバス」のプロデューサーが見つけた才能が凝縮
夏休みを突如ニューヨークのクィア・コミュニティで過ごすことになった
男子高校生を描いた青春ドラマ + コメディ、関西初公開!
© A Symbolic Exchange, Little Punk Production
結婚の平等を訴える集会 女性限定のSMクラブ 「Lの世界」を見るパーティ…
初めてふれる刺激的な、ブルックリンのクィアコミュニティ…!
2006年。全米レベルで同性婚が合法化される10年近く前、黒人大統領の登場がまだ想像し難かった時のアメリカ。ぎこちない思春期を生きる高校生のアダムは親から逃れ、姉のいるニューヨークで夏休みを過ごすことにした。レズビアンの姉ケイシーとともに初心なアダムは都会の刺激的なレズビアンやトランスジェンダーの人々の運動やカルチャーに足を踏み入れる。そして、そこで出会った年上のジリアンに一目惚れ…!しかし、アダムは彼女からトランス男性と勘違いされてしまう。訂正する機会を逃していくうちに関係は深まり、ブルックリンのクィアコミュニティでの経験も増やしていくアダムの状況は、どんどん複雑になっていく。
ドラマ「トランスペアレント」全シーズンでプロデューサーを務めた
トランス男性の監督リース・アーンストの長編デビュー作
監督は、Amazonプライム製作のドラマ『トランスペアレント』のプロデューサーで自身でも映画制作を続けてきたリース・アーンスト。スマートフォンもまだなかった2006年にブルックリンに住んでいた彼は、トランスジェンダー男性として、原作小説におけるトランスジェンダーの人々への眼差しをより当事者に寄り添った描写に変換し脚本を仕上げ、若者たちの生み出すクィアカルチャーをぎこちなかった部分も含め内側からの視点で描いている。
アーンスト監督は、LGBTQのカルチャーの歴史に厚みがあるニューヨークのトランスジェンダーの当事者ですら、自分達を説明する言葉の使い方を試行錯誤していたと2000年代中頃を振り返る。
主人公アダムの破天荒な姉は、本作発表後に製作れたNetflixドラマ『メイドの手帖』やタランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で話題のマーガレット・クアリーが演じ、アダムが恋をするジリアン役は遠藤麻衣子の『TECHNOLOGY』やドラマ『アイ・ラブ・ディック』のボビー・サルボア・メネズがみずみずしく演じている。その他、ニュアンスあふれる本作にはトランスジェンダーのキャラクターたちが多く登場し、実際にトランスジェンダーやノンバイナリーの俳優が鮮やかに演じている点にも注目!
クィアカルチャーが大きく変わりゆくこの時代の複雑な状況を描いているが、意外にも笑える。 — Film Inquiry