35mmフィルム上映オールナイト
前身の「みなみ館」の設立からおよそ 65 年。映画上映企画会社 RCS がプログラム編成に本格的に携わり、ミニシアターとして全国に名を知られるようになってからおよそ 30 年。2010 年に RCSと提携を解消して以降も、ユニークかつ魅力的なプログラムで、膨大な数に及ぶ国内外の映画を紹介してきた京都みなみ会館は、本年 9 月末日をもって幕を下ろします。京都みなみ会館といえば「オールナイト」。夜を徹して映画を観た経験が、京都みなみ会館の記憶になっている方々も数多くいらっしゃるでしょう。今回は、京都みなみ会館で実施される最後の「オールナイト」として、当館にゆかりのある作品をすべて 35mm フィルムで上映します。
▶ 22:45- 次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊
1954 年 /103 分 / 監督:マキノ雅弘 / 出演:森繁久彌、水島道太郎、川合玉江、志村喬、小堀明男
今も高い人気を誇るマキノ雅弘監督の東宝「次郎長三国志」シリーズ。その第八部は森の石松を主人公に据えた純情悲恋の名作である。次郎長親分の命を受けて金毘羅様への旅に出た石松は当地の色街で運命の女に出会うことになる。2008 年の京都映画祭における特集「マキノ映画誕生一〇〇年」では、当館で全 9 部が夜を徹し翌日の昼過ぎまで連続上映された。
▶0:45- 宵待草
1974 年 /96 分 / 監督:神代辰巳 / 脚本:長谷川和彦 / 音楽:細野晴臣 / 出演:高橋洋子、
高岡健二、夏八木勲
ロマンポルノから一般映画まで破竹の勢いだった神代辰巳の 1974 年。その年末に封切られたのが本作。大正時代を舞台に、アナーキスト二人と令嬢の冒険的な逃避行が描かれる。かつて当館で追悼特集が行われた鴨田好史が本作でもチーフ助監督を務めているが、鴨田脚本による、神代の『恋人たちは濡れた』(1973 年)と共通のモチーフが見られるのも一興。
▶2:40- 汚れた血
(C)THEO FILM
1988 年 /119 分 / 監督:レオス・カラックス / 出演:ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノ
シュ、ミシェル・ピコリ、ジュリー・デルピー
愛のないセックスによって感染する伝染病が蔓延する近未来のパリで、主人公のアレックスは父の友人マルクに特効薬を盗む計画を持ち掛けられ、マルクの愛人アンナと出会う。本作は、デヴィッド・ボウイ主演『地球に落ちてきた男』の自主配給の際など、当館でもたびたびオールナイトで取り上げられている。どの世代にも刺さる傑作だから、なのだろう。
▶4:55-希望のかなた
© SPUTNIK OY, 2017
2017 年 /98 分 / 監督:アキ・カウリスマキ / 出演:サカリ・クオスマネン、シェルワン・ハジ、
イルッカ・コイヴラ、カイヤ・パカリネン、カティ・オウティネン
内戦が激化するシリアを逃れてきた難民の青年に、妻と別れレストランを経営することになった主人公が手を差し伸べる。1994 年の東京国際映画祭・京都大会で来日した際に、当館で開催されていたオールナイトに飛び入りしたこともあるアキ・カウリスマキだが、この最近作でもそのスタイルを変えることなく、絶 望の中の希望を描き出している。
《立命館大学映像学部 学生プロデュース企画Extra》
立命館大学映像学部に在籍する2回生以上が受講する「映画上映実習」。その授業の課題として、2008年より、立命館大学と京都みなみ会館の共同主催により特集上映企画を実施してきました。本特集上映は、本授業の担当教員である川村健一郎(立命館大学映像学部教授)が作品を選定し、学生がその運営に従事する「学生プロデュース企画Extra」として実施します。
主催:立命館大学映像学部、京都みなみ会館